短篇礼讃

これを買ったのは、ある短編小説を読みたかったからである。渡辺 温の「可哀相な姉」。この奇妙な一遍は、薄気味悪く始まり、心暖まる話になるのかと思って、え、と思う残酷さで終わる。裏道をたった2人で生きる姉と弟の関係はどれとなく近親相姦的。姉を踏み越えて生きて行く弟の残酷さは、しかしさらりとして、後味は悪くない。作者は交通事故で若くして亡くなっている。長く生きていたら、何を書いていたのだろう。