年を歴た鰐の話

翻訳したのは、山本夏彦氏で、小説と言うよりも絵本である。白黒の鰐のイラストの横には、短い言葉が並んでいる。

短い。ごくありふれた、どこにでもある日本語の並び。鰐は愛している筈のものを食欲に負けて食べてしまう。そして、その愛しているものは美味しい。美味しいと思いながら、涙を流す。残酷か、悲しいか、寂しいか、鰐はそうして友達を食べてしまってひとりぼっちになる。

ぽつんぽつんと並んだ文字は、少ないくせに響いて残る。